アプカス プロジェクト

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旧紅茶生産地における小規模酪農普及による貧困削減
(スリランカ中部州キャンディ県デルトタ郡バウラーナ村)

1. 現況

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1-1 背景
スリランカ全人口の85%以上が農村部に居住し、GDP全体に対する農業分野の割合は15%を占めるとともに就労人口の34%が農業に従事している。貧困層の約95%は農漁村地域、プランテーション農園地域を中心に分布し、農業の停滞が貧困問題の大きな要因となっている。

1-2 地理・人口
バウラーナ村、コラビッサ村は、中部州キャンディ県デルトタ郡の標高約1,000メートルの丘陵地帯に位置する村々で、総面積745haの内、耕作放棄地247ha、山林157ha、住居及び畑276ha、茶畑65haとなっている。同地域には、シンハラ65%、タミル25%、ムスリム(イスラム教徒)10%の3民族1,497名が暮らしている。


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1-3 事前調査による問題点
1-3. 1 収入の不安定化および人口流出の悪化
 コラビッサ村では、9割の住民が畑作・稲作・紅茶等の小規模農家として生計を立ててきた。しかし近年の気候変動の影響による干ばつ、農薬等の長期間の利用による土壌劣化等による作物生産性の低下とともに、化学肥料の高騰、政府補助金の減額、需要と供給のアンバランスによる卸価格の下落などの要因により、農家の収入は大きく下がっている。また、水資源の枯渇化により、稲作の2期作もできなくなっており、雨水利用に依存する耕作となっていることも収入の不安定化を助長している。このような現状の中、住民は現金収入を得るために日雇いの仕事を探しに近隣の街や、出稼ぎのために大都市へ出ていくことが多くなっている。9割の住民が農家であるが、その内4割が収入源を日雇い・出稼ぎに頼っており、中には村に戻ってこない人も見られる。今後も現金収入のために地域外へ出ていく人が増え、地域内の人口減少が進む危険性が高い。バウラーナ村も同様の状況がある。
 バウラーナ村、コルビッサ村で、2012年より、牛乳生産と有機肥料の供給が可能なことから、希望する住民に乳牛の配付および牛舎の建設サポート事業が進められている。畑作・紅茶栽培等と家畜飼育の複合的な経営が、安定収入にながるという期待もあり、多くの住民に配布することができたが、個別で仲買業者に卸している限り、買取価格を買いたたかれるという課題があった。そこで2013年、バルククーラーの導入を行い、安定的な牛乳生産の階段を一歩一歩上っているものの、貧困問題の解決にはまだほど遠く、継続的な取り組みが望まれている。

当該地でのこれまでの事業については、
LinkIcon2012年 家畜飼育の導入による貧困削減と地域の平和促進事業
LinkIcon2013年 乳牛飼育の導入と生乳販路確保による貧困削減

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1-3. 2 生乳販売の問題
 通常、生乳は各農家から朝夕それぞれ一次集乳所(各農家が歩いていける範囲にある)に集められ、業者がそれを回収、2次集乳所(近くの街)にて冷蔵貯蔵し、1~2日置きに大手企業の集乳車により工場へと運ばれるシステムとなっている。バウラーナ村、コラビッサ村では以前、生乳を集荷する業者が数社あり、条件のよいところへ各農家が出荷するというシステムが取られていた。昨年度、バルククーラーを導入したことにより、牛乳生産者が牛乳を安定的に貯蔵できるようになったものの、全体として集められる乳量がまだ少ないこともあり、大規模な取引ができず、小規模酪農産業の育成に大きく貢献するには至っていない。また、牛乳の需要は都市部を中心に高いが、当該地からの輸送方法やコストの問題も含め、販売先の開拓についても行っていく必要がある。

1-3. 3 酪農技術の問題
今まで牛を配布してきた受益者の中に酪農経験者も多いが、酪農技術について全体のレベルについては、衛生管理など基礎的な技術が習得できていない受益者も多く、継続的な関わりの中で、科学的な知識に裏付けられた飼料や衛生管理の方法を定着させていく必要がある。なお、牛の堆肥利用については、簡易的な方法(牛舎横のスペースに野積みして、近隣地に撒く)で行っている生産者も多く、農作物の穫量の向上には一定の効果をあげている。
また、「牛銀行方式(乳牛を配布した受益者のところでそれ以降に生まれた雌牛については、新規の受益者に配布する)」を採用することで、牛の持続的な供給体制の確立を目指しているが、順次生まれてくる仔牛の育成をどういった方法で行うかなどの新たに対応が必要な課題も発生している。

2. 活動指針

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2-1 活動概要
1. 乳牛配付と技術面のフォローアップ
2. 家畜発展委員会の組織力強化支援
3. 複合的・循環型農業についての学習会
4. 集乳センターの運営

2-2 受益者
バウラーナ村、コルビッサ村の住民290名
(バウラーナ村63世帯、コラビッサ村60世帯)

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2-3 目的
バウラーナ村、コラビッサ村の貧困世帯が乳牛の導入により貧困から脱出する一歩となるとともに、地域内での集乳が可能となり、販売価格の安定化と農民への利益の最大化が進み、最終的に収入が3割増すことを目指します。

3. 活動内容

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3-1 実施期間

2014年4月>>2015年3月

3-2 活動内容
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3-2. 1. 乳牛配付と技術面のフォローアップ
一昨年度から配布している乳牛が、雌の仔牛を生み始めていることから、引き続き牛銀行形式で、順次トレーニング修了者(世帯)に対して乳牛の配付を行う。また、仔牛の育成に関しても、関係機関と協議を行い場所の確保を模索する。また、家畜配付後、1週間ごとにスタッフが巡回し、家畜の生育状況等の確認を行うとともに、特別な問題がある場合には、獣医師と連絡を取り合い、専門的な助言を得られるようにサポートを行う。
3-2. 2.家畜発展委員会の組織力強化支援
月に1度の委員会を開催し、技術的な問題の共有、販路確保の協力体制づくり、行政からの支援情報の共有などを行う。
3-2. 3.複合的・循環型農業についての学習会
外部講師を招いて、家畜発展委員会のメンバーを対象として、複合的・循環型農業についての学習会を実施。長期的な視点に立って、段階的に同地域内の農業を「循環型」へと転向していくことの利点や難しさを学ぶ。委員が学習した後、委員主催の組合員を対象とした同様な学習会も実施する。
3-2. 4.集乳センターの運営
昨年度設置したバルククーラーを活用しつつ、バルククーラー、発電機のメンテナンス費用、集乳センター家賃、集乳用トラック費用などは事業終了後に自立運営ができるように、生乳販売時に積み立てをしていく仕組みを作る。
3-2. 5.牛乳加工およびマーケティング
牛乳を生乳として販売に加え、乳製品を加工することができれば、より多くの付加価値や雇用を地域住民に還元できることから、乳製品加工技術を持っている国内外の機関や企業と連携して、乳製品加工についても新規に着手する。また、都市部を中心にマーケティング調査を行い、乳製品のニーズについても情報収集やネットワーク構築を行う。

3-3 活動スケジュール
2014年4月~
【デルトタ事務所】
バルククーラーの管理運営、乳牛の配布、技術サポート、行政機関との連携
【コロンボ事務所】
販路の拡大、乳製品加工などの可能性の検討

3-4 活動スケジュール
ガミ・セバ・セバナ(スリランカ現地NGO/持続可能型農業)

3-5 関連機関
キャンディ県事務所
デルトタ郡事務所

3-6 メンバー
石川 直人 (事業統括)
伊藤 俊介 (日本事務所プロジェクト管理)
プリヤンタ ニローシャニ(デルトタ事務所プログラムマネージャー)

3-7 予算

調整中です

今年度の当プロジェクトは、自己資金によって実施されます。

4. 活動報告

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4-1 進捗状況

実施中

4-2 実施レポート

作成中です

4-3 担当者レポート

【担当者レポート2014年2月14日】

1939985_512509672201562_106288880_n.jpgワラパネ事務所と同じ中部州のデルトタ事務所の事業の現場に足を運びました。この地域では、酪農と養鶏の普及を通して、農民の生計向上のお手伝いをしています。今年度は、小規模酪農家が出荷する牛乳を集め冷蔵することができる集乳施設を立ち上げて、より品質の高い牛乳を生産するための土台作りを行っています。
デルトタ事務所はプリヤンタさんという女性スタッフが中心となって活動を進めていて、日本人スタッフからは彼女のお姉さん肌の性格から、プリヤンタ姉さんと呼ばれています。プリヤンタ姉さんとは、実はかなり長いおつきあいで、スマトラ沖津波の復興住宅での活動時からの関係です。女性支援やフィールドレベルでの経験が豊富で、時には孤軍奮闘して、団体の活動を献身的に支えてくれました。
昨年度から乳牛配布の取り組みを進めているのですが、最近追加で希望者に配布することが決まったため、スタッフ全員で、配布対象となる住民の家を回り、現況の確認を行いました。
その途中で、地区の寺院に立ち寄ったところ、数日前から準備していたというスタッフの歓迎セレモニーを地域住民の皆さんが催してくれました。1年前からこの地域で活動をしているのですが、このようなセレモニーを住民主導で開いたのは、初めてとのことで、プリヤンタ姉さんが、団体を代表して「住民のみなさんの主体的な取り組みの大切さとともに、これからも、一緒にがんばりましょう」という趣旨のご挨拶をしました。
事務所から事業地までの移動も結構大変な地区なのですが、フィールドスタッフも住民の温かなおもてなしに、日々の苦労が報われた瞬間だったのではと思います。

日本事務所 伊藤

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災害復興支援活動(スリランカ)


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LinkIcon地滑り被災者に対するBHNの充足と自立型復興促進のための自治組織力の強化(2008)

LinkIconハングランケタ郡地すべり被災民移転地における参加型水供給プログラム(2008)

LinkIcon津波移転住宅における家庭菜園導入によるゴミ問題の解決(2009)

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LinkIconスリランカ北東部内戦避難民子ども支援プロジェクト~小さな笑顔プロジェクト~(2009)

LinkIcon地すべり被災地域における校舎建設と学校菜園運営を通した教育支援(2010)

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災害復興支援活動(日本)


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LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2013.04-2013.12)


地域開発事業


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LinkIcon住民主体の森林再生~「貧困⇔森林破壊」負の連鎖を断ち切る~(2009)

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LinkIcon食料・平和の確保に資する家庭菜園&有機農業普及のための農業研修センターの設立(2009)

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LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2009)

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LinkIconガルカダウェラ幼稚園新築プロジェクト(2010)

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LinkIcon視力検査と視力矯正を通した子どもの健康増進と学習環境の整備(2011)

LinkIcon家庭菜園普及と農業組合および女性グループの組織強化支援(2011)

LinkIcon農業生産加工や省エネ商品の販売促進による生計向上支援活動(2011)

LinkIcon英語クラブと補講クラスの実施を通した学業支援活動(2011)

LinkIcon家畜飼育の導入による貧困削減と地域の平和促進(2012)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2012~2013)

LinkIcon乳牛飼育の導入と生乳販路確保による貧困削減(2013)

LinkIcon生ゴミの堆肥化と有機農産物ブランド化を通した零細農家の収入向上と持続可能な社会のモデルづくり(2014)

LinkIcon指圧マッサージサロン「Thusare トゥサーレ」の運営と視覚障がい者の雇用促進を目指した体制強化(2014)

LinkIconバウラーナ長屋再生プロジェクト(2014)

LinkIcon旧紅茶生産地における小規模酪農普及による貧困削減(2014)


教育講演活動


LinkIconスリランカ・スタディツアー・コーディネート(2008)

LinkIcon北海道障害学研究会サポート活動(2008)

LinkIcon教育機関での国際協力に関する講演活動(2008)

LinkIconBOPビジネス及び社会起業に関するフィールド調査(2010)


情報の共有活動


LinkIcon現地パートナーNGO/シッダールタ チャイルド ディベロップメント ファンデーション(SCDF)