アプカス プロジェクト

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僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援
~子どもの健康改善に向けて~
(スリランカ北西部州プッタラマ県ニカワラティヤ郡・コタウェヘラ郡)

現況

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事業予定地は、北西部州クルネーガラ県ニカワラティヤ郡及びコタウェヘラ郡にある2つの学校です。

政府統計局の発表によると、北西部州は貧困率が33.9%と高い上に、国全体の貧困者の17.6%が生活しており、他州と比べて状況がより深刻です。また、低所得者への生活保護手当の支給プログラムが政府によって行われていますが、事業予定地域では7割の人がその対象者となっており、事業地は同州の中でも貧困度が高い地域であると言えます。2つの学校がある村ではその8割が零細農民であり、高騰する燃料や肥料代による支出の増加と、異常気象による収穫高の低下や農村地域と市場を結ぶインフラの未整備を主因とした収入の減少により、日々の糧を得るのが精一杯な生活を送っています。
スリランカ中央銀行の統計では、貧困地域の世帯支出全体に占める食糧支出の割合は80.7%に対して、教育は1.1%であり、貧困のしわ寄せは当然子どもの教育にも及んでいます。また、政府も財政難を理由に僻地の学校の整備は後回しにしており、教育界における“格差”の拡大が顕著になってきています。

当法人では21年度、近隣の学校4校において井戸の設置等の支援活動を行いました。また、現地NGOサングラマとは、無電化地域での分散型電源普及の調査・建設事業等の地域開発事業を行っていますが、これらの活動を通して、飲料水がないという深刻な問題をマガッレガマ学校とガルカダワラ学校が抱えていることを認識しました。

マガッレガマ学校では、深井戸があるものの、埋設している鉄製のチューブが錆びており、飲料には適していません。ガルカダワラ学校では、井戸があるものの雨水を貯水する機能しかはたしておらず、飲料水の確保が出来ていないという現状が確認されています。学校関係者と対話を続ける中で、飲料水の問題だけではなく、貧困の問題を根底として、健康全体に関する知識・関心の不足、栄養失調、学力低下等の問題が深刻化している事が分かりました。
この様な背景の下、もっとも重要なニーズの1つである“飲料水”の確保と健康改善に向けた取り組みへの支援が必要であるとの要望が関係者より当法人に伝えられました。

活動指針

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活動概要

へき地農村での井戸と給水タンクの設置
衛生概念向上プログラムの実施
家庭菜園の普及

受益者

マガッレガマ小学校及びガルカダワラ小中学校に通う572名の生徒と35名の教員
家庭菜園を実施する100名の生徒とその家族

目的

飲料水の確保ができていない2つの学校を対象に、井戸と給水タンクの設置を通して、継続的に安全な水を供給すると共に、衛生概念向上プログラムと家庭菜園の導入を通して、子どもたちがより健康に学習に取り組める環境を整備します。また、野菜の自家栽培・自家消費を通して、貧困家庭の食費の支出削減を行いつつ、有機農業への理解を促すことで、農有機農業技術の活用への一歩へとつなげます。

さらに、活動の中で保護者・教員達との対話を大切にし、共に考え、共に行動することで、彼らの自主性・自立性を高め、他の問題へも自ら取り組む姿勢を醸成しつつ、行政との連携も強化し、地域全体で問題を解決する素地を作ります。

活動内容

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実施期間

2009年4月>>2010年3月

活動計画

1.各学校において水・衛生問題対策部会の発足と促進

21年度の事業実施から学んだ事を活かし、既存の学校発展委員会を活用し、本課題に重点的に取り組むための部会を委員会の下に立ち上げます。部会では、保護者・教員・村行政官を交えて問題の確認と対策について話し合い、自分たちの問題であるということの意識化を行います。また、定期的に部会を開催し、組織の強化を促すと共に井戸などの完成後その維持管理を自分たちでするための方法などを模索する一方で、郡教育事務所などの関係機関との話し合いも行うように促します。

LinkIcon前年度の事業については、こちらをご覧ください

2.計画策定と情報共有

問題対策部会が中心となり、水問題の解決のための計画つくりを行い、問題と解決策および計画を掲示板に張り出すことを通し、保護者及び地域の人々との情報の共有を行います。また、策定計画を郡事務所・地域教育事務所へ提出する事により、学校の課題や地域のやる気をアピールし、行政からの協力を引き出します。

3.井戸建設・貯水タンクの建設

各学校において、保護者が中心となり住民主体の井戸の建設・貯水タンクの建設を実施します。業者に委託するのではなく、住民コントラクトおよびボランティア精神の下建設を進め、オーナーシップが高まると共に、無駄な支出を抑える事にもつながります。

4.衛生概念向上プログラム

①地域の公衆衛生官または医師を招いて、当該地域特有の疾病などについての啓発活動と共に、基礎健康診断を行います。その際、子どもに大きな健康問題などが発見されれば、関連機関と調整を行い対応します。
②手洗いやトイレの清掃など衛生管理の基礎とその教授法について、高学年の子どもを対象にワークショップを行います。その後、高学年の子どもが、ポスターなどを使い、低学年を指導します。また、子どもを通した家庭内の衛生向上も進めます。
③各学校から約40名を選出し、衛生管理向上をテーマとしたポスターを作製して展覧会を実施します。

5.家庭菜園の実施

①基礎健康診断の結果より、特に栄養状況が悪い子どもを選び、保護者との協議のうえ100世帯の対象者を決定します。
②作物栽培に関する基礎的ワークショップを各学校で開催します。なお、指導は当法人の専門家が行いますが、農業普及員(行政職員)にも協力を要請し、継続的なフォローアップ等は、農業普及員が行います。
③種の配布を行い栽培を開始します。
④栄養価の高い作物やその料理法についての啓発活動を行います。

カウンターパート

サングラマ(スリランカ現地NGO)

1989年にクルネーガラ地域の発展を目指し有志によって結成され、その後94年に社会福祉省にNGOとして登録した社会開発を進めている団体です。サングラマは「参加型手法を通して持続可能な発展へ寄与する」事を目的と掲げ、農業技術の普及・農村における基礎インフラの整備・環境保全・代替エネルギーの研究及び普及・ガバナンスの分野において活動を進めており、最近は下記の活動を行っています。

※()内は助成団体
・移動図書館の促進事業 (Poverty Analysis Centre)
・総合的な参加型地域開発(Practical Action)
・良い統治の促進事業 (Asia Foundation)
・女性ニーズと開発事業 (Practical Action)

メンバー

石川 直人(スリランカ現地コーディネート業務)
伊藤俊介(国内調整業務)
ライオネル・ティラカラトゥネ(サングラマ代表)

予算

1,533千円

当プロジェクトは、公益信託 今井記念海外協力基金により、1,000千円の助成が行われます。

活動報告

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進捗状況

終了

実施レポート

4月から5月にかけて、関係者と活動の準備をを開始し、行政からの許可を取るためニカワラティヤ郡、コタウェヘラ郡事務所との協議を行いました。

その後、両校で保健師と協力し、簡易的な健康検査を行いました。5月末に実施したマーガッレガマ学校では、生徒226名を対象に体重・身長・視力を検査しました。その結果、栄養失調傾向43名(19%)、基準値内179名(79%)、肥満傾向4名(2%)ということが分かりました。6月末には同様の検査をガルカダウェラ学校で行い、195名の内、栄養失調傾向32名(16%)、基準値内150名(77%)、肥満傾向13名(7%)ということが分かりました。

井戸および貯水タンクのの建設に関しては、可能な限り保護者がボランティアとして参加することが全員一致で決まりました。予算執行の透明性・建設の質を確保するために、水・衛生対策部会を立ち上げ、学校発展委員会とともに、保護者が中心となり事業の管理・調整を進め、建設が進められました。

家庭菜園については、対象者50名の選出には、先に行った健康診断の結果で、栄養失調傾向があると判断された子どもがいる32世帯を優先し、順次トレーニングを展開していく予定です。

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担当者レポート(11月末日)

衛生概念向上の一環として行った基礎健康診断では、予想以上に栄養失調傾向の子ども達が多かった事に驚きました。
 マーガッレガマ学校では約5人に1人に当たる19%の子どもが、栄養失調の可能性があると判断され、ガルカダウェラ学校においては16%の子どもが栄養失調の危険があるとの事でした。簡易的な測定であり、今回基準に満たなかったという理由で、すぐに“処置”をする必要がないかもしれませんが、念のため保護者には状況を伝え、行政関係者とも今後の対応を話し合っています。年度末には再度、簡易検査及び健康診断を実施し、改善が見られるかどうかを確認したいと思っています。
 この活動の中で、実際に現地を足を運んでみると、栄養失調の背景にあるものは、単に「貧困=食料がない」という問題だけではないことに気づかされます。物理的な“僻地度”では、ガルカダウェラ学校の方が上回っているのにも関わらず、マーガッレガマ学校の方が、栄養失調の子どもが多かった背景には、地域に“カースト”と似た「閉鎖的な差別の構造」が色濃く残っているからに他なりません。

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 マーガッレガマ学校に通う子どものほとんどが、近くの「ある村」から通っているのですが、その村は周りの村から隔離されており、村以外の住民との交流はあまりないのが現状です。その村人の多くは学校に行ったことがなく、主として清掃作業員などの職業に就いています。以前までは、子どもを学校に通わせることも必要がないと考えていた保護者が多く、昼間から子どもたちが村の中で遊びまわっていることも普通の光景だったそうです。またアルコール中毒の人も多く、夕方過ぎに行くと、喧嘩して叫びあっている光景が日常で、決して子どもたちが健全に育つ良い環境があるとはいえない村でもありました。村人は、自分達が“差別”されているから何をしても無駄であると考えており、近隣村の人達は、彼らの行動を日々目にして更に距離を置くという悪循環が続いていました。

 そんな中、協働団体サングラマの活動により、少しずつ村人の意識も変わり、子どもたちを学校に通わせるようになってきました。まだ村全体の意識が変わる段階へは来ていませんが、子どもを通して、保護者へメッセージを送ることにより、少しずつではありますが村全体の意識が変わってくると考えています。

 また、子どものために保護者が協力し合って井戸を作りあげた事は、保護者の自信にもつながっており、今後の家庭菜園プログラムの展開にも期待が持てます。雨季の到来に合わせて、若干家庭菜園開始時期が遅れていますが、この報告書を作成している11月22日現在、ガルカダウェラ学校では家庭菜園プログラムが実施されました。マーガッレガマ学校でも近日中に実施される予定であり、雨のタイミングに合わせて種まきも始める予定です。

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災害復興支援活動(スリランカ)


LinkIconスマトラ沖地震にともなう被災者への支援プログラム(2005)

LinkIcon地滑り災害被災地におけるBHN充足に向けた支援(2007)

LinkIcon地滑り災害被災地における総合的支援~グリーンムーブメント・オブ・スリランカ協働事業~(2007)

LinkIcon地滑り被災者に対するBHNの充足と自立型復興促進のための自治組織力の強化(2008)

LinkIconハングランケタ郡地すべり被災民移転地における参加型水供給プログラム(2008)

LinkIcon津波移転住宅における家庭菜園導入によるゴミ問題の解決(2009)

LinkIcon地滑り被災者移転地区における住宅建設へのコンクリートブロック提供と自治組織の強化(2009)

LinkIconスリランカ北東部内戦避難民子ども支援プロジェクト~小さな笑顔プロジェクト~(2009)

LinkIcon地すべり被災地域における校舎建設と学校菜園運営を通した教育支援(2010)

LinkIcon地すべり移転地区における子どもクラブの運営(2010)

LinkIcon地すべり被災地における農業を中心とした総合的な生計向上支援(2010)

LinkIcon地すべり被災者への住宅資材の提供事業(2010)

LinkIcon北中部州洪水被災児童への学用品の緊急支援活動(2011)


災害復興支援活動(日本)


LinkIcon東日本大震災『緊急支援活動』(2011.03-05)

LinkIcon東日本大震災『復興支援活動』(2011.06-08)

LinkIcon大震災被災地へ物資を直接支援「あくしゅプロジェクト」(2011)

LinkIcon東日本大震災『中長期支援活動』(2011.08-2012.03)

LinkIcon東日本大震災『仮設住宅の住環境改善支援』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2013.04-2013.12)


地域開発事業


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LinkIcon農村地域のアトゥンゴダイシパタナ小学校校舎新築及び環境教育の普及(2008)

LinkIcon識字率向上へのチルドレン・ハッピー・プランinスリランカ~子どもが子どもに教える。そこから広がる大きな幸せの輪~(2008)

LinkIconゴミから紙を作る!エコロジカルペーパー・ワークショップによる環境教育プログラム(2008)

LinkIcon僻地農村貧困地区での分散型エネルギー普及の調査・建設プロジェクト(2008)

LinkIcon住民主体の森林再生~「貧困⇔森林破壊」負の連鎖を断ち切る~(2009)

LinkIcon干ばつ地域での女性に配慮したコミュニティ主導防災計画の立案(2009)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市ボルゴダ湖の自然環境保全(2009)

LinkIcon僻地農村の子どもへのコンピューター&インターネット技術の普及活動(2009)

LinkIcon僻地農村のティッサカニトゥ小学校修繕および菜園による栄養改善事業(2009)

LinkIconウィルガムワ郡の教育設備の整備および教育の重要性についての啓発事業(2009)

LinkIcon食料・平和の確保に資する家庭菜園&有機農業普及のための農業研修センターの設立(2009)

LinkIconスリランカ僻地における学校建設を通した教育支援事業(2009)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2009)

LinkIconスリランカ紛争及び津波被災地域における子どもの栄養改善とメンタルケアプログラム(2009)

LinkIconパルゴッラ幼稚園&図書館の新築プロジェクト(2010)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2010)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市・ボルゴダ湖の自然環境保全(2010)

LinkIcon水質の改善、水資源の有効利用を通した地域開発プロジェクト(2010)

LinkIconアプカスを通した直接支援スキーム「おんこ基金」プロジェクト(2010)

LinkIconスリランカと日本を結ぶアートクラフト開発プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者のフットマッサージ師就職促進プロジェクト(2010)

LinkIconガルカダウェラ幼稚園新築プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2011)

LinkIcon視力検査と視力矯正を通した子どもの健康増進と学習環境の整備(2011)

LinkIcon家庭菜園普及と農業組合および女性グループの組織強化支援(2011)

LinkIcon農業生産加工や省エネ商品の販売促進による生計向上支援活動(2011)

LinkIcon英語クラブと補講クラスの実施を通した学業支援活動(2011)

LinkIcon家畜飼育の導入による貧困削減と地域の平和促進(2012)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2012~)

LinkIcon乳牛飼育の導入と生乳販路確保による貧困削減(2013)


教育講演活動


LinkIconスリランカ・スタディツアー・コーディネート(2008)

LinkIcon北海道障害学研究会サポート活動(2008)

LinkIcon教育機関での国際協力に関する講演活動(2008)

LinkIconBOPビジネス及び社会起業に関するフィールド調査(2010)


情報の共有活動


LinkIcon現地パートナーNGO/シッダールタ チャイルド ディベロップメント ファンデーション(SCDF)