~リトルスマイル~内戦被災民子ども支援プログラム
(スリランカ 北東部 避難民キャンプ)
現況
日本においてもニュースで取り上げられているように、スリランカの内戦が一応の終結を迎えました。反政府軍のリーダーが殺害されたことを受けて、「反政府軍を壊滅した」と、19日に大統領は勝利宣言を行いました。街の中は、爆竹が鳴り響き、祝賀モード一色となりました。
そんな中、復興への具体的な計画策定と実行、26年間の内戦で溝が深まった民族間の融和への行動など、今すぐに取り組まなければならない課題が目の前に山積しています。何よりも、戦火を逃れて何とか生き残った市民、約26万人が現在北東部の避難キャンプで生活しており、疲弊しきった人びとへの支援が急務となっています。
そこで、当団体では、パートナー団体(スランガニ基金)との協力の下、避難キャンプにいる子どもたちへ焦点を当て、彼らの笑顔を少しでも呼び戻すための活動「小さな笑顔プロジェクト」を展開したいと思っています。
活動指針
2009年5月11日現在、国連人道問題調整事務所の発表によると、 避難民は4地区(ヴァウニア/ジャフナ/トリンコマリー/マナー)の避難キャンプに避難しており、ヴァウニアでは、政府児童局が2つの幼稚園をはじめています。
その子どもたち対象に、プレゼントセットを配布します。現在、配布方法については、当該地域で活動をしている国連機関・NGO等と調整中です。
小さな子どもたちへ: スマイルパック(500円/セット)
絵本/コップ/タオルハンカチ/石けん/石けん箱/歯磨き/歯ブラシ/くし/手鏡/自由画帳/クレヨン/マーブルチョコ/風船を布製の手提げ袋にいれて届けます。
500円で1つのスマイルセットができます。少しでも多くの子どもたちに届けることができるようにあなたのご支援をお待ちしています。振込先は以下となっております。また、ご寄付いただいた後に、メールにて当法人に御一報いただければ、後日活動報告メールを送信させていただきます。
活動内容
5月19日スリランカの大統領は26年間続いた内戦の終結を宣言しました。反政府軍(LTTE)側も敗北を認める声明を出すとともに、これ以上の被害を出さないために武器を置くと発表しました。その数時間後に、政府は「人間の盾」として取り残されていた市民を救出したと述べ、逃走しようとした反政府軍幹部を殺害したと発表しました。
戦勝祝賀モードに包まれる街中…しかし、手放しには喜べないのが、私たちの本心です。
内戦終結の発表を受け街の中では、爆竹が鳴り響き、国旗で装飾した車が走り回り、万歳!万歳!と叫ぶ人が街をねり歩き、道端では食べ物が振舞われるという光景が広がっています。
そんな中、「内戦が終わったのは嬉しいけどね、うちの息子(兵士)からの連絡がここ1週間ないのよ。それが心配で心配で…。素直に喜べない気分なんです」と、友人の母親が語っていました。
前線で戦った多くの兵士が貧しい村出身の若い青年達で、ここ数カ月でかなりの数の兵士が亡くなっていると言われていますが、正確な情報はありません。そして、多くの兵士が「行方不明」という形で家族に知らせが届いています。「生きているかもしれない」と、家族は最後のかすかな望みにすがりついて日々を過ごしています。
一方、北部での戦闘が激化した数カ月の間に数千人の市民(タミル人)が戦闘に巻き込まれて亡くなったと言われています。政府軍・反政府軍どちらが悪いのかは別として、一般市民が犠牲になったことは現実であり、多くのスリランカ人(シンハラ・タミル双方)が命を失ったことも事実であります。そして、何とか戦火を逃れた人びとが26万人ほど北東部の避難キャンプでの生活を余儀なくされている現実もあります。
この暑い時期に、外で避難生活をするのがいかに大変かということは容易に想像がつきます。今この時にも、悲しみにくれる人びと、苦しみに耐える人びと、未来への希望を見出せない人びとがいることを考えると、万歳!と叫びながらお祝いをする気分にはなれないというのが正直な気持ちです。本当に、すべての民族が平和に普通な暮らしを送れるようになった時にこそ、お祝いをしたいなと心から思います。
これから、復興をどのように進めるのか?民族間の融和をいかに進めるのか?等多くの課題があります。それらは非常に難しい問題でもあり、私たちの手には負えないものかもしれません。でも、きっと今私たちにできることもあるのではないかと思います。
そこで、パートナーNGOと以下の支援を計画しています。
子どもの笑顔・この国の未来のためにあなたの優しさを分けてください!
北東部の避難キャンプで暮らす避難民。その中に多くの子どもがいます。家族を失い悲しみに暮れる子ども。戦闘を目の当たりにして今も恐怖に怯えている子ども。将来への希望を持てない子ども。怪我や病気に苦しむ子ども。しかしみな今を生きており、彼らこそがこれからの未来を創り上げていく主役でもあります。そんな子どもたちに笑顔が少しでも戻るようにと願い、「小さな笑顔プロジェクト」が企画されました。
活動報告
進捗状況
活動終了
(募金の募集は締め切らせていただきました。ありがとうございました)
活動報告
小さな笑顔プロジェクト完了報告書(PDF版)
2009年6月の政府とLTTEの26年に渡る内戦終結のニュースが駆け巡る中、北部内戦難民キャンプに収容されたタミル人を中心とする人々は、移動や言論の自由を制限され、不衛生な狭いテントで暮らすことを強いられました。そんな大変過酷な環境で暮らす子どもたちにやさしさが詰まったプレゼントを届けたい。そのために「小さな笑顔プロジェクト」は立案されました。その趣旨に賛同し、当法人も6月から実施主体のスランガニ基金と共に募金活動を開始いたしました。
当初の予想を超え、大変たくさんの方々にご寄付をいただき、当法人分の寄付総額は、日本円で32万714円(400,454スリランカルピー)となりました。
また、配布の準備をする中で予想外の収穫もありました。スマイルバックに入れるためにと、日本から使わなくなったたくさんの人形を送っていただいたり、サマポーシャという体に良い伝統のお菓子を一緒に入れるという素晴らしいアイデアが出たり、在スリランカの日本人の方がバックへのパッキングを手伝ってくれたりと、人の力を合わせて生まれるエネルギーを何度も見ることができました。
当初より盛りだくさんになったスマイルバックは、1200袋にもなりました!
しかし、実際のスマイルバックの配布を巡っては、キャンプの情報コントロールに敏感になっている政府との交渉に難航しました。スランガニ基金・馬場代表が、粘り強く交渉を重ね、当初の予定よりはだいぶ遅れてはしまいましたが、11月に配布する許可が下りました。軍部に撮影した写真のチェックを受け、12月のこの時期にようやく皆様に写真と共にご報告できる運びとなりました。
私たちアプカスとしても、このプロジェクトを通して団体の垣根を超えることの重要性と共に、スランガニ基金から多くのことを学ばせていただきました。今後も協働事業を立案し、効果的に連動していければと思っております。また、機会があれば、様々な形で内戦難民を支援する活動にチャレンジしたいと考えています。
皆様のご支援ありがとうございました。
スランガニ基金 馬場代表よりメッセージ
沢山の方々のあたたかい思いがいっぱい詰まった1200個の赤いバックを11月17日に無事届けることができました。軍隊のトラックでスランガニ事務所からキャンプへと運搬、子どもたちの目を見つめながら、1つずつその手に渡すことができました。
キャンプの子どもたちは、笑顔一杯で、見た目には栄養不足も予想していたより少なかったのでホッとしました。雨期ということで排水による汚水があちこちに流れ、淀んでいて、衛生環境は劣悪でした。
しかし、家庭により、女性の努力により、仮設のトタン住居の周りに野菜を植えていたり、それを使って料理していたりと頑張り面も見えました。女性は強いな、すばらしいなと思いました。
すべてのご協力いただきました皆様に心から感謝申し上げます。