アプカス プロジェクト

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スリランカ紛争及び津波被災地域における子どもの栄養改善とメンタルケアプログラム
(スリランカ東部州バティカロア県ダッチバー村)

現況

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バティカロア県ダッチバー村は、スリランカの少数民族タミル人が暮らす村である。当該村があるスリランカ東部州は、政府とタミル人の25年間に及ぶ内戦の主戦地域であったため、人的及びインフラ資源が衰弱化した。さらに、2004年12月に発生したインド洋大津波では、366名の貴重な人命が失われ、村の全住居が全壊する甚大な被害に見舞われた。現在、当該村には86世帯が暮らしているが、一家の大黒柱を失った家庭も多く、主産業である漁業の働き手を失った家庭では、生計の維持に困窮しており、村自体の活力も大きく失われている。

 津波被害後には、外部支援により、住宅が建設され、一応の生活の再開が進められたが、人的リソースの喪失、インフラ設備の不足、さらに、特に子ども世代への津波による肉体的・精神的ダメージの影響は今なお甚大である。

 多くの子どもは、内戦による恐怖心や津波被災のトラウマを抱えたままで、精神的に不安定である。また、上記の通り、親を失った子どもは、さらに深刻で、教育の機会の低下や貧困に陥ることで、生きる希望を見出せずにおり、栄養状態、衛生状態も低い中での生活を余儀なくされている。津波災害から4年が経過し、NGOなどによる支援は殆どが終わってしまったが、子どもの健康状態は改善しておらず、早急な取り組みが求められている。なお、事業予定地は、昨年の 7月に政府が制圧し、治安は改善しており活動の安全性は確保されている。

活動指針

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活動概要

①村人による問題確認と計画作り
②家庭菜園及び養鶏の普及
③子ども会の設立と促進
④健康・衛生改善に関する啓発活動

受益者

同村に暮らす86世帯

目的

・人びとの事業に対する関心が高まることによる、自主性の高まり
・問題に対して自ら取り組もうという姿勢が醸成され、他の問題への取り組み促進
・定期的に野菜の収穫が可能となり、バランスの取れた食事が摂ることによる特に子どもの栄養改善
・野菜を自家栽培することにより、支出を削減することによる家計へのサポート
・養鶏を通した定期的な卵の消費による栄養改善
・生ゴミを肥料として利用し始めることによる、ゴミの減量及び地域内の衛生環境の改善
・子どもの精神状態の改善
・自信や創造性などが引き伸ばされることによる未来への可能性の拡大
・学習サポートよる、学力の向上
・行政と村との連携が高まり、行政による子どもへのサポート開始
・栄養に関する知識が高まることによる、子どもの健康改善
・環境衛生への意識が高まり、衛生的な村作りの開始

活動内容

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実施期間

2009年4月>>2010年3月

活動計画

①村人による問題確認と計画作り
自治会のメンバーと共に、現在の問題を整理・確認し、問題解決のための行動計画を策定し、住民間で共有する。これにより、当事業の必要性を再確認すると共に、自主的な参加を促し、住民が何かを待ち望むだけの依存型事業ではなく、自立発展につながるように事業を開始する。
②家庭菜園及び養鶏の普及
・家庭菜園ワークショップ
6世帯1組のグループを作り、グループリーダー(約14名)を対象としてワークショップを開催する。砂が多い土壌なため、有機肥料等を利用して行う土壌改良の方法を説明する。その後、栄養価の高く、当該地に適用しやすい根菜類等の栽培方法を説明する。また、台所から出る生ゴミや落ち葉等を使った堆肥作りの方法も同時に教え、継続的な有機肥料の生産とゴミの有効利用を進める。なお、ダッチバー村の土壌は肥沃ではないため、最初に外部より牛糞等で作った有機肥料を投入する。さらに、採種技術の移転を行い、自分たちで種を採取して次の栽培を行うよう促す。なお、当該地域は4月~8月まで乾季のため、実際の家庭菜園の開始は9月からの予定。

・技術の共有と普及
基礎知識を得たリーダーが中心となり、自分の組のメンバーに同様な説明を行う。なお、この活動には現場職員が常に参加し、技術移転の促進を図り、家庭菜園を進める。

・養鶏技術の移転
グループリーダーを対象とした小規模養鶏に関するワークショップを開催する。なお、鶏は病気や暑さに強く、特別な餌を必要としない伝統種を利用することにより、住民による飼育が容易となる。その後、技術の共有をグループ毎に行い、そして、各世帯に2匹のヒナの提供を行う。

・フォローアップ
月に一度、農業の専門家がモニタリングを行い、住民に対して適切なアドバイスを行う。また、現地職員は週に1度、各家を訪れて問題の確認を行い対応する。

③子ども会の設立と促進
子ども会は、メンタル面での各子どもの状態の把握から、カウンセラーによるカウンセリングまでを行う「メンタルサポート」と、子どもが子どもに教えることでで「学習サポート」する2つの役割を担うことで、精神的なケア、学習環境の整備、子ども同士の思いやりの気持ちをトータル的に向上させる。参加者は、 6~17歳の子ども(55名)を予定している。

・メンタルサポートプログラム
(1)ワークショップを通して、子ども会をどのように進めていくのかを子ども自身が計画を作る。
(2)当活動の中で簡単な質問表・観察を通した調査を行い、子どもの精神状態を把握する。その情報を政府の社会福祉士と心理カウンセラーと共有し、個別な対応計画を作り実施につなげる。
(3)ゲーム等を通して精神的リラックスを促し、トラウマの緩和や、長所を認識することなどにより自信を引き伸ばしたり、活動を通して協調性を高めたりと将来への可能性を拡大する。特に精神的に不安定な子どもには、個別でカウンセリングを実施する。
(4)発表会を企画し、絵・工作の展覧や歌・演劇の発表などを実施する。また、地域の人びとも招待し、今後の活動に参加してもらうきっかけ作りにもつながる。
(5)ミニ市場を開催する。子どもが野菜や小物を持ち寄って、地域の人を招待して買い物をしてもらう。そこで得られた収益を今後の子ども会の維持費に充てられる。

・学習サポートプログラム
(1)子どもの学習到達度を判断し、比較的到達度の高い生徒また高学年の子どもに教師役になってもらいながら、子どもと共に学習計画を立てる。
(2)個人の状況に応じて学習サポート開始

④健康・衛生改善に関する啓発活動
・栄養改善
親を対象に、栄養に関するワークショップを開催し、現在の問題点及び野菜などをバランス良く食べる重要さを説明し、家庭菜園の活動とのリンクを促すことで、持続可能な農業の普及、栄養改善を同時にサポートする。

・衛生環境向上
台所や家をどのようにして清潔に保つかという啓発活動を実施。現地職員が日々各家を訪問し、住民の意識及び行動の改善を促す。

・手洗い指導
子どもと親を対象に手洗いの普及促進を行う。

カウンターパート

グリーンムーブメント・オブ・スリランカ(GMSL)

メンバー

石川 直人(現地コーディネーター)
伊藤 俊介(国内調整業務)

予算

1,202千円

当事業は、地球市民財団より800千円の助成を受け実施されています

LinkIcon地球市民財団

活動報告

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進捗状況

終了

実施レポート(09年9月末)

村人による問題確認と計画作り

 村の発展委員会のメンバーを中心に、計画作りワークショップを開催。現在住民が抱える問題について、ベンダイヤグラム等の視覚化ツールを利用して明確化し、共有を行いました。漁具不足・漁獲高の低下・収入減少という主産業に関連する問題が指摘されるとともに、土地の有効利用や副収入確保の観点より多くの人が家庭菜園・家畜の飼育に強い関心を持っていることも再確認されることとなりました。

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家庭菜園及び養鶏の普及

 12名の代表を対象に2日間の家庭菜園研修を行いました。当該地の「砂が多い」土壌ををどのように利用するのか、有機肥料の作り方、菜園のデザイン、栽培方法、病害虫に対する生物的防除方法を学びました。
また、栄養価が高い作物について、伝統的調理方法の紹介なども行い、現在市場に出回っている“商品”に含まれる食品添加物の問題に関して考え、特に子どもたちへ安全な食品を提供することの大切さを共に考えるきっかけ作りを行いました。代表たちは、村に戻りそれぞれのグループで学んだ事を共有し有機肥料作りから着手し、現場コーディネータが各家を巡回訪問し技術的な問題がないか継続的なフォローアップを行っています。

当該地ではまだ一般に普及していない養鶏に関する飼育方法は、政府の家畜促進局の獣医師により基礎講習を受け、発症の可能性がある病気について断定の仕方及び治療方法を学びました。また、外敵から保護するための柵が重要であることも強調されました。鶏は実際に提供を開始して、各世帯での養鶏がスタートしています。

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子ども会の設立と促進

 村の幼稚園の一部屋を借りて、子ども会の設立に向けた話し合いを行うとともに、高学年の子どもと青年が中心となり、活動計画を作成しました。
その後、行政の協力も得て、子どもたちの精神面の状況を調査しました。参与観察の結果、すぐにケアが必要な深刻な問題を持った児童は確認されませんでしたが、継続的な観察の必要性を指摘する専門家もいたため、話し合いの結果、継続的に調査活動を行う旨が確認されました。
学習面でのサポートも予定していましたが、高学年の子どもの数が少なく、当初予定していた「子どもが子どもに教える」という形式での実施が難しくなっており、他の手法を検討中しています。

健康・衛生改善に関する啓発活動

 お母さんたちを対象に、栄養に関する啓発活動を開催。子どもの栄養状態を見分ける簡易方法や、一日に必要な栄養について学びました。多くの家庭では、魚とご飯だけという単調な食事を続けているため、家庭菜園で採れる野菜を日々食卓でうまく使う方法について、講師から指導を受けました。あわせて、台所を清潔に保つ重要さや、そこから子どもへの衛生教育を進める方法についても学びました。

担当者レポート

多くの時間を家で過ごす女性を中心に活動を進めている事と、本事業の現地コーディネータも村に住む女性であるということが、事業の進捗に良い結果を出していると考えています。井戸端会議に参加しつつ衛生向上についての話し合いを展開するなど、現場に根差した活動をベースにしたの発展のために活動を進めます。

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災害復興支援活動(スリランカ)


LinkIconスマトラ沖地震にともなう被災者への支援プログラム(2005)

LinkIcon地滑り災害被災地におけるBHN充足に向けた支援(2007)

LinkIcon地滑り災害被災地における総合的支援~グリーンムーブメント・オブ・スリランカ協働事業~(2007)

LinkIcon地滑り被災者に対するBHNの充足と自立型復興促進のための自治組織力の強化(2008)

LinkIconハングランケタ郡地すべり被災民移転地における参加型水供給プログラム(2008)

LinkIcon津波移転住宅における家庭菜園導入によるゴミ問題の解決(2009)

LinkIcon地滑り被災者移転地区における住宅建設へのコンクリートブロック提供と自治組織の強化(2009)

LinkIconスリランカ北東部内戦避難民子ども支援プロジェクト~小さな笑顔プロジェクト~(2009)

LinkIcon地すべり被災地域における校舎建設と学校菜園運営を通した教育支援(2010)

LinkIcon地すべり移転地区における子どもクラブの運営(2010)

LinkIcon地すべり被災地における農業を中心とした総合的な生計向上支援(2010)

LinkIcon地すべり被災者への住宅資材の提供事業(2010)

LinkIcon北中部州洪水被災児童への学用品の緊急支援活動(2011)


災害復興支援活動(日本)


LinkIcon東日本大震災『緊急支援活動』(2011.03-05)

LinkIcon東日本大震災『復興支援活動』(2011.06-08)

LinkIcon大震災被災地へ物資を直接支援「あくしゅプロジェクト」(2011)

LinkIcon東日本大震災『中長期支援活動』(2011.08-2012.03)

LinkIcon東日本大震災『仮設住宅の住環境改善支援』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2013.04-2013.12)


地域開発事業


LinkIcon生計向上と地域の安定を目指した家庭菜園の普及活動(2007~)

LinkIcon農村地域のアトゥンゴダイシパタナ小学校校舎新築及び環境教育の普及(2008)

LinkIcon識字率向上へのチルドレン・ハッピー・プランinスリランカ~子どもが子どもに教える。そこから広がる大きな幸せの輪~(2008)

LinkIconゴミから紙を作る!エコロジカルペーパー・ワークショップによる環境教育プログラム(2008)

LinkIcon僻地農村貧困地区での分散型エネルギー普及の調査・建設プロジェクト(2008)

LinkIcon住民主体の森林再生~「貧困⇔森林破壊」負の連鎖を断ち切る~(2009)

LinkIcon干ばつ地域での女性に配慮したコミュニティ主導防災計画の立案(2009)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市ボルゴダ湖の自然環境保全(2009)

LinkIcon僻地農村の子どもへのコンピューター&インターネット技術の普及活動(2009)

LinkIcon僻地農村のティッサカニトゥ小学校修繕および菜園による栄養改善事業(2009)

LinkIconウィルガムワ郡の教育設備の整備および教育の重要性についての啓発事業(2009)

LinkIcon食料・平和の確保に資する家庭菜園&有機農業普及のための農業研修センターの設立(2009)

LinkIconスリランカ僻地における学校建設を通した教育支援事業(2009)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2009)

LinkIconスリランカ紛争及び津波被災地域における子どもの栄養改善とメンタルケアプログラム(2009)

LinkIconパルゴッラ幼稚園&図書館の新築プロジェクト(2010)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2010)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市・ボルゴダ湖の自然環境保全(2010)

LinkIcon水質の改善、水資源の有効利用を通した地域開発プロジェクト(2010)

LinkIconアプカスを通した直接支援スキーム「おんこ基金」プロジェクト(2010)

LinkIconスリランカと日本を結ぶアートクラフト開発プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者のフットマッサージ師就職促進プロジェクト(2010)

LinkIconガルカダウェラ幼稚園新築プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2011)

LinkIcon視力検査と視力矯正を通した子どもの健康増進と学習環境の整備(2011)

LinkIcon家庭菜園普及と農業組合および女性グループの組織強化支援(2011)

LinkIcon農業生産加工や省エネ商品の販売促進による生計向上支援活動(2011)

LinkIcon英語クラブと補講クラスの実施を通した学業支援活動(2011)

LinkIcon家畜飼育の導入による貧困削減と地域の平和促進(2012)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2012~)

LinkIcon乳牛飼育の導入と生乳販路確保による貧困削減(2013)


教育講演活動


LinkIconスリランカ・スタディツアー・コーディネート(2008)

LinkIcon北海道障害学研究会サポート活動(2008)

LinkIcon教育機関での国際協力に関する講演活動(2008)

LinkIconBOPビジネス及び社会起業に関するフィールド調査(2010)


情報の共有活動


LinkIcon現地パートナーNGO/シッダールタ チャイルド ディベロップメント ファンデーション(SCDF)