アプカス プロジェクト

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食料・平和の確保に資する家庭菜園&有機農業普及のための農業研修センターの設立
(スリランカ国ウバ州モナラーガラ県タナマルヴィラ郡シーヌックワ地区)

現況

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昨今、物価の高騰(スリランカはアジアで一番のインフレ率を記録している)に伴い特に貧困層は日々の食料の確保すら難しいという現状が確認できた。また今後、さらなる異常気象等に伴う食糧危機の脅威にさらされている。

スリランカでは大都市を抜かして、多くの家には庭があるが有効利用されていない。また、家庭菜園&有機農業を始めたいが、具体的な方法を学ぶ場所がないという問題もある。そして、今まで家庭菜園を行っている地域でも情報交換をする拠点がないため、効率よい普及へとつながっていない。また農民にとって化学肥料や農薬に過度に頼っている農法では、経済や健康を悪化させる一方であると農民自身も感じているが、その改善方法を体系的に学ぶことができる実験圃場を兼ね備えた研修センターがないとい問題がある。

事業実施地域(モナラーガラ県)では、子どもの栄養失調の問題が顕著化している。また、25年以上も続く内戦の結果タミル・シンハラ民族間の信頼関係が崩れているという現状である。

特に貧困層が直面している物価の高騰・異常気象などによる食糧危機に対して、“食のセーフティーネット”を確立する必要がある。ただし、政府が行う食料配給には財政的な限界があるため、出来る限り自助努力による食料の確保が求められている。そのためには、家庭菜園&有機農業技術を学ぶための実験圃場を備えた研修センターを設立し、効率よくその技術を普及することが強く求められている。スリランカの通常の家には家庭菜園を行う充分なスペースがある。技術の普及を進め、土地を有効利用することが強く求められている。また、農民の経済的・健康的な負担を軽減するためにも有機農業技術の普及を進めることが必要とされている。また、長期内戦で疲弊している両民族の“つながり”の再構築が必要である。

活動指針

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活動概要

(1)農業研修施設建設
 研修農場整備
 研修所建設
(2)農業技術移転プログラム
 家庭菜園普及
 持続型農業技術トレーニング及び村落リーダー養成
 種バンク、伝統野菜の発掘及び普及

受益者

(1)農業研修施設建設:
事業実地地域周辺の零細農民25世帯(105名)が建設事業に関連し副収入を得るとともに、研修所完成後は、トレーニング時の講師としての副職を得る事につながる

(2) 農業技術移転プログラム:
家庭菜園の普及:タナマルヴィラ郡の60世帯(240名)及び、スリランカ全土から選ばれたシンハラ・タミル両民族の70世帯(280名)
持続型農業トレーニング:タナマルヴィラの農民50世帯(200名)
種バンク:スリランカ全土の人びと約500名
伝統野菜の発掘及び普及:スリランカ全土の農民40世帯(200名)
農村リーダー養成:タミル・シンハラ両民族の青年20名

目的

簡易的な研修圃場を農業研修センターへと発展させ、家庭菜園と有機農業技術の普及を促進し、人々が直面している食糧確保及び栄養の問題への解決策を提供する。タミル・シンハラ・ムスリム3民族が共に研修を受けることにより、“農業技術・食文化”の学習・交流を通して両者の信頼関係が醸成され平和構築に資することを目的としている。

活動内容

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実施期間

2009年4月>>2010年3月

活動計画

(1)農業研修施設建設

①研修農場整備
簡易研修圃場を発展させるべくその整備に最初に着手する。畑は現在約20アールであるがそれを50アールに拡大すると共に、有機肥料の投入を行いつつ、有機農業の研修圃場として使えるように整備する。また、苗床、井戸、簡易排水設備、畜舎、バイオガスプラントの整備を行い、研修者が実践を通して技術を学ぶ事ができる場所として整備をすすめる。圃場の整備を、短期研修と平行に行うことにより、畑や畜舎などの整備・建設に直接係る事により、より深い学びができる。

②研修所建設
一度に30名が研修を受けられるホールを備え、簡易の宿泊施設も備え付けた研修所の建設を行う。研修所の建設は完全に業者に委託するのではなく、可能な限り現地の雇用を促進するよう調整する。また、環境への影響を考え、できる限り周辺地域で資材の調達を行うとともに、より環境に優しいものを選ぶよう調整を行う。

(2)農業技術移転プログラム

①家庭菜園普及
研修圃場にスリランカの一般的な家庭の庭を再現し、そこで家庭菜園のモデルを作り技術の普及を促進する。家庭菜園では、栽培が容易で短期間に収穫できるものを多く栽培し、収穫により参加者の意欲が増し、菜園の継続が進むように計画する。また、農薬を使わずに病害虫から作物を守る手法なども教え(例えば、害虫に対して唐辛子とニンニクのすり潰した液を希釈して散布するなど)、安全で健康を促進する野菜や果物つくりを促進する。

②持続型農業技術トレーニング
単一作物の栽培ではなく、様々な作物を栽培する事で、病害虫の発生を抑えたり、家畜を導入したりと総合的農業の研修を行う。また、農薬が健康に与える問題などの啓発を行いつつ、有機肥料(コンポスト)の作り方や自然農薬を使用して安全で経済的な負担が少ない農業手法のトレーニングを行う。

③種バンク
研修圃場で栽培した作物より種を採取しそれを貯める。同時に今までの活動で築かれている家庭菜園等のネットワークを利用して各地域からも種を集める。その種を、研修に参加した人びとに貸付を行い、栽培後に借りた分の種を2割り増しで返してもらう事により種の有効活用と種を通した人びとの交流が盛んになる。

④伝統野菜の発掘及び普及
研修圃場において、昔から栽培されている伝統野菜の実験栽培を行い、干ばつや病害虫に強い作物の普及につなげる。また、研修に参加する人びとに伝統野菜のすばらしさを伝える事により、各地域で忘れ去られている伝統野菜の発掘にもつながり、異常気象等に耐えうる作物の発掘・保全・普及につながる。

⑤村落リーダー養成
シンハラ・タミル両民族の青年を集め、上記の研修を総合的に取り組んだ村落リーダー養成コースを開催する。持続型農業の基礎知識はもちろんだが、リーダーシップ醸成、チームワーク向上、参加型開発の基礎知識の提供などを行い、次世代の農村リーダーの育成を進める。また、両民族が共に学びあう事により、内戦によって破壊されつつある両民族の信頼感の醸成にもつながる。

カウンターパート

グリーンムーブメント・オブ・スリランカ(GMSL)

メンバー

石川 直人(現地コーディネーター)
伊藤 俊介(国内調整業務)
ジャナカ ウィターナゲ(GMSLプロジェクトオフィサー)

予算

当プロジェクトは、ゆうちょ国際ボランティア貯金(独立行政法人 郵便貯金・簡易生命保険管理機構)配分を受け実施されました

活動報告

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進捗状況

終了

実施レポート

①持続可能型農業実習農場の整備
6月初旬に、井戸用ポンプとポンプ設置所、太陽光発電電灯、自然遊歩道、小規模貯水池を含む、50アールの実習農場の整備が終わる。
持続型農業を学ぶことができる農場を作る過程で、周辺の村人も積極的に参加もあり、研修を行う前から持続型農業の必要性について理解を広げてくれた。
小規模貯水池ができたことにより、周囲の地下水レベルが上がり、井戸の水位も上がった。井戸の水位が上がった事により、乾季に周辺住民が水を得る事が可能となった。

②持続可能型農業普及のための研修センターが完成
途中スケジュールの遅れがあったものの09年12月下旬に完成

③短期及び長期の研修を通して持続可能型農業の普及促進
家庭菜園研修24回、持続型農業研修11回、農村リーダー養成研修2回を行い、延べ742名が様々な技術を取得した。また、全国で種銀行に関する啓発活動及び研修を50回ほど開催し約700名の農民に知識と技術を移転した(2010年3月25日現在)
多くの研修生が持続型農業の基礎を学び実践へと移し、それを見ていた周辺の住民も持続型農業への興味を高め、積極的に農場へ足を運ぶようになった。また、約550世帯において家庭菜園が実施され、各世帯において安全な野菜を収穫・消費する事ができるようになった。

DSC_0323.JPG村一番の家庭菜園を作った”恥ずかしがり屋”のお母さん

④農村リーダー養成研修を実施
2010年2月下旬に20名を対象とした農村リーダー養成研修が終了した。

⑤種銀行の設置と伝統野菜の普及促進
2009年年11月に現地事務所に種銀行を開設。研修センター完成後にその機能をセンターに移動する。種銀行の開設により、伝統野菜43種の種を収集保存する事が可能となり、それらの種を活用し伝統野菜の普及へつながった。

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⑥農業研修を通してシンハラ、タミル両民族の融和促進
農業研修に延べ43名のタミル人が参加し、シンハラ人との交流を通して民族の融和が促進された。少数民族のタミル人と多数派シンハラ人が共に研修を受けることにより、双方が抱いていたお互いへの不信感を払拭するきっかけ作りとなり、民族融和の促進へとつながった。

今後に向けて

研修センター建設に関して、「環境配慮」が充分であるかを確認すると言う理由で、最終的な建設許可が出るまでに時間がかかった。これにより、着工が遅れ、完成も遅れる事となった。土地の問題に関して、口約束で問題ないと言われたのを信用せずに、事前に関係機関と詳細な打ち合わせをし、許可書を入手する必要があった。

・農村リーダー養成研修は無事に終了したが、参加した多くは若い青年達であったため、それぞれ村に戻った後ですぐに活動を開始するのが難しかった。これは「統率力」の不足が一番の原因であった。村の中の年配層と十分な話し合いを行い、それを基礎に参加者の選定を行い、研修後の村内でのサポートまで準備する必要があった。

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災害復興支援活動(スリランカ)


LinkIconスマトラ沖地震にともなう被災者への支援プログラム(2005)

LinkIcon地滑り災害被災地におけるBHN充足に向けた支援(2007)

LinkIcon地滑り災害被災地における総合的支援~グリーンムーブメント・オブ・スリランカ協働事業~(2007)

LinkIcon地滑り被災者に対するBHNの充足と自立型復興促進のための自治組織力の強化(2008)

LinkIconハングランケタ郡地すべり被災民移転地における参加型水供給プログラム(2008)

LinkIcon津波移転住宅における家庭菜園導入によるゴミ問題の解決(2009)

LinkIcon地滑り被災者移転地区における住宅建設へのコンクリートブロック提供と自治組織の強化(2009)

LinkIconスリランカ北東部内戦避難民子ども支援プロジェクト~小さな笑顔プロジェクト~(2009)

LinkIcon地すべり被災地域における校舎建設と学校菜園運営を通した教育支援(2010)

LinkIcon地すべり移転地区における子どもクラブの運営(2010)

LinkIcon地すべり被災地における農業を中心とした総合的な生計向上支援(2010)

LinkIcon地すべり被災者への住宅資材の提供事業(2010)

LinkIcon北中部州洪水被災児童への学用品の緊急支援活動(2011)


災害復興支援活動(日本)


LinkIcon東日本大震災『緊急支援活動』(2011.03-05)

LinkIcon東日本大震災『復興支援活動』(2011.06-08)

LinkIcon大震災被災地へ物資を直接支援「あくしゅプロジェクト」(2011)

LinkIcon東日本大震災『中長期支援活動』(2011.08-2012.03)

LinkIcon東日本大震災『仮設住宅の住環境改善支援』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2013.04-2013.12)


地域開発事業


LinkIcon生計向上と地域の安定を目指した家庭菜園の普及活動(2007~)

LinkIcon農村地域のアトゥンゴダイシパタナ小学校校舎新築及び環境教育の普及(2008)

LinkIcon識字率向上へのチルドレン・ハッピー・プランinスリランカ~子どもが子どもに教える。そこから広がる大きな幸せの輪~(2008)

LinkIconゴミから紙を作る!エコロジカルペーパー・ワークショップによる環境教育プログラム(2008)

LinkIcon僻地農村貧困地区での分散型エネルギー普及の調査・建設プロジェクト(2008)

LinkIcon住民主体の森林再生~「貧困⇔森林破壊」負の連鎖を断ち切る~(2009)

LinkIcon干ばつ地域での女性に配慮したコミュニティ主導防災計画の立案(2009)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市ボルゴダ湖の自然環境保全(2009)

LinkIcon僻地農村の子どもへのコンピューター&インターネット技術の普及活動(2009)

LinkIcon僻地農村のティッサカニトゥ小学校修繕および菜園による栄養改善事業(2009)

LinkIconウィルガムワ郡の教育設備の整備および教育の重要性についての啓発事業(2009)

LinkIcon食料・平和の確保に資する家庭菜園&有機農業普及のための農業研修センターの設立(2009)

LinkIconスリランカ僻地における学校建設を通した教育支援事業(2009)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2009)

LinkIconスリランカ紛争及び津波被災地域における子どもの栄養改善とメンタルケアプログラム(2009)

LinkIconパルゴッラ幼稚園&図書館の新築プロジェクト(2010)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2010)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市・ボルゴダ湖の自然環境保全(2010)

LinkIcon水質の改善、水資源の有効利用を通した地域開発プロジェクト(2010)

LinkIconアプカスを通した直接支援スキーム「おんこ基金」プロジェクト(2010)

LinkIconスリランカと日本を結ぶアートクラフト開発プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者のフットマッサージ師就職促進プロジェクト(2010)

LinkIconガルカダウェラ幼稚園新築プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2011)

LinkIcon視力検査と視力矯正を通した子どもの健康増進と学習環境の整備(2011)

LinkIcon家庭菜園普及と農業組合および女性グループの組織強化支援(2011)

LinkIcon農業生産加工や省エネ商品の販売促進による生計向上支援活動(2011)

LinkIcon英語クラブと補講クラスの実施を通した学業支援活動(2011)

LinkIcon家畜飼育の導入による貧困削減と地域の平和促進(2012)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2012~)

LinkIcon乳牛飼育の導入と生乳販路確保による貧困削減(2013)


教育講演活動


LinkIconスリランカ・スタディツアー・コーディネート(2008)

LinkIcon北海道障害学研究会サポート活動(2008)

LinkIcon教育機関での国際協力に関する講演活動(2008)

LinkIconBOPビジネス及び社会起業に関するフィールド調査(2010)


情報の共有活動


LinkIcon現地パートナーNGO/シッダールタ チャイルド ディベロップメント ファンデーション(SCDF)