アプカス プロジェクト

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おが屑の有効利用を通したモラトゥワ市・ボルゴダ湖の自然環境保全
(スリランカ西部州コロンボ県モラトゥワ市インディベッダ地区)

現況

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事業予定地であるスリランカ・モラトゥワ市は、人口は約22万人、木材産業や観光業を中心として栄えている大都市である。同市には、スリランカ最大の淡水湖であるボルゴダ湖がある。

この湖にはスリランカに生息する野生動物総数の約1/3が生息しており、同時にこれはスリランカ固有種の約1/10に相当し、大都市のオアシスであると共に重要な観光資源でもある。

しかし、近年、同湖及びその周辺では環境破壊が進んでいる。その要因の一つがゴミ=おが屑である。湖周辺にある大小約1万棟の製材工場が排出するおが屑が、野積み・野焼き・湖へ不法投棄されている。その結果、周辺住民、特に子どもや高齢者の喘息など気管支系疾患の原因となっている報告がある。さらには、野焼きの残り火による火災も報告されており、市民の安全を脅かしている。
また、おが屑が水面に漂うことによって浄化作用をもつ水生植物の光合成が阻害されその生息に悪影響を及ぼしている。さらに魚類の生息環境悪化によって、周辺住民の食料資源の減少が懸念されている。また、おが屑の投棄により、湖が埋め立てられてしまい、マングローブが繁茂していた水辺の環境も大きく変化し、そこで生息していた野鳥などの野生動物も減少している。
行政のキャパシティの問題もあり、1日に30t以上排出されるゴミ=おが屑の問題への解決策はなく、日々深刻化する一方である。これは、貴重な自然環境や観光資源の消滅につながると共に、問題の拡大化及び市民の不満が募ることで、主要産業である木材業の安定発展の阻害につながる。

本事業では、ゴミ=おが屑を資源として利用するオガライト・オガ炭の生産作業所を設立し、おが屑=ゴミの減量につなげる。そして、“ゴミ”であったおが屑が“価値あるもの”だったという例より“価値観の転換の重要性”を伝え、市民のゴミ問題に対する意識の変換を促す。これは、側面的に行政が進めるリサイクル活動を支援することになる。さらに、おが屑はバイオマスであり、これをエネルギーとして有効利用することは化石燃料による温室効果ガスの排出を抑制することから地球温暖化対策にも貢献できる。

このような多面的な取り組みにより、ゴミ問題を解決しつつ「環境保全」と「産業発展」の両輪を回すことにより、モラトゥワ市の自然環境保全を進め、持続可能な発展への一助となることを目指す。

活動指針

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活動概要

本事業は2009年4月~2011年3月までの2年の期間で行い、以下の5つの活動によって構成される。

① 現状調査およびマスタープランの作成
② 市民への啓発を通したおが屑処理ユニットの設立
③ ゴミ問題に対する行政・市民の共通課題の認識を促しその連携の強化
④ オガライト・オガ炭製造
⑤ 学校での環境教育

受益者

・製材工場の事業者
・インディベッダ地区の1,500世帯(約7,000人)の人びと
・4つの学校の12歳~16歳の生徒約350名

目的

<期待される直接的効果>

・ゴミの削減効果
湖周辺に廃棄されていたおが屑をオガライト・オガ炭に加工することで、2010年12月までに行政が回収するべきおが屑を現行の30t/dayから、少なくとも5t/dayへ削減

・環境保全効果
湖周辺の自然環境の保全、おが屑ゴミの減量による湖畔景観の回復、水質の回復、水産資源の保護等の効果。またオガ炭の広範な利用方法を探る。

・家庭用燃料の薪の代替材の供給効果
・野焼きによる健康被害の軽減及び火災の防止
・雇用の創出

<期待される間接的効果>

・森林資源の保護
廃棄されている製材所のおが屑を燃料=薪として利用することにより、薪として伐採される森林が保護される。

・環境教育による環境意識の向上
・湖沼環境への理解の促進
・住民ネットワークの機能性・連帯性向上

活動内容

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実施期間

2009年4月>>2011年3月

活動計画

①現状調査およびマスタープランの作成
現地環境NGOグリーンムーブメントオブスリランカ・NPO法人アプカスらと共同で社会調査および生態系調査を実施する。社会調査においては基礎情報と共に、製材所から排出されるおが屑の量と処分方法、また環境保全に対する住民の興味関心についてアンケートを行い、情報をまとめる。生態系調査は、現地の専門家に依頼する。それらの結果を、市役所・環境局・製材組合・自治会の代表らと共有し、ワークショップを通して問題解決のマスタープランを作成する。

②市民への啓発を通したおが屑処理ユニットの設立と促進
マスタープランに基づき、市民との話し合いを継続的に行い、現状及び課題を共有し、問題解決することが彼らにとって利益であることへの理解を促す。その結果として、市民・行政・NGOの人々を含むおが屑処理ユニットを設立する。その後、製材組合との連携を強化し、おが屑回収システムの構築をする。

③ゴミ問題に対する行政・市民の共通課題の認識を促しその連携の強化
連絡協議会を定期的に開催し、ゴミ問題に関する情報を共有し、行政・市民が一丸となり問題に取り組むための支援を行う。また、グリーンムーブメントオブスリランカや環境局との連携の下、世界のゴミ問題や廃棄物処理に関する事例紹介と解決へ向けた活動についてワークショップを開催し、周辺地域住民のおが屑問題への理解を深める機会を積極的に提供する。

④オガライト製造と販売
当初の調査結果を基に、必要な処理量に合ったオガライト・オガ炭製造機械を導入する。初年度は1日に10tのおが屑を処理し、6~7tのオガライト・オガ炭を生産する。また、すでに廃棄されてから長期間経過し、オガライト・オガ炭の原材料に適さないおが屑については、行政に積極的に処理を促し、さらに住民と共に大量のおが屑を一掃するクリーンアップキャンペーンを展開し、おが屑処理へ向けた人々の意欲を高める。2010年度より、作業工程の効率化及び機械の調整などを行い、おが屑の処理能力を1日15t前後まで伸ばす。製品は、おが屑の提供業者や個人に一定量無償提供するとともに、市民に安価で提供する。この売上により生産経費を賄える状態に発展させ、事業終了後の自立発展性を確保する。また、生産過程に必要な労働力は、実施地域周辺の貧困層から雇用することで、地域経済の底上げに貢献する。

⑤学校での環境教育
事業実施周辺の4つの学校を対象とし、ボルゴダ湖の生物多様性及び、現在の問題等を理解してもらうための教育活動を展開する。教師や生徒と共に簡易的な生態系調査の実施や、ネイチャーゲームなどを積極的に取り入れ、自然のすばらしさを頭だけではなく体で感じる活動を通して“身体的認識知”の向上を目指す。また、オガライト・オガ炭の生産作業所を地域に公開することで、ゴミ問題及び資源の有効利用についての理解を深める機会を積極的に提供する。また、他の湖の汚染要因についても改善を図るため、継続的に住民や学校と対話を行い、信頼関係を醸成しながら、将来的に住民の自主的な取り組みを促進するような行動計画を共同で策定し、実施する。

カウンターパート

酪農学園大学 資源再利用ゼミ
グリーンムーブメント・オブ・スリランカ(GMSL)
モラトゥワ市役所
ジャヤワルダナプラ大学社会調査研究室

メンバー

石川 直人(現地コーディネーター)
伊藤俊介(国内調整業務)
ダグラス・クマーラ(GMSL事業統括責任者)
バンドゥランガ(GMSL生態系調査主任)
セーパーラ(ジャヤワルダナプラ大学講師)

予算

2年間に渡り三井物産環境基金より押谷一教授を中心とする当プロジェクトへの活動助成が行われます。アプカスは、現地の全ての活動を統括するパートナー団体となっております。

活動報告

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進捗状況

実施中

担当者レポート

(プロジェクトリーダー: 押谷一 酪農学園大学教授)

① 現地事務所の立ち上げ及び関係者との話し合い
予定通り、現地事務所を立ち上げ、スタッフを雇用し、モラトゥワ市長はじめ現地の関係者との話し合いは順調に進みました。

② ボルゴダ湖周辺の調査
NPO法人アプカスに委託してボルゴダ湖周辺の社会環境ならびに生態系の調査を実施しました。調査の実施にあたってはSepala Samarasekara氏(University of Sri Jawardenepura、上級講師)はじめ、現地の大学等の協力を得ることができました。

③ 周辺住民への環境教育など
酪農学園大学資源再利用学研究室の学生と現地スタッフなどの協働作業により、子供用の絵本、大人向けにはリーフレットを作成し、市内の学校などにおいて環境教育を実施し、環境保全の重要性について啓発活動を実施しました。

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④ オガライト生産
当初予定していたオガライト製造機械が高価であること、外国製の輸入にはいくつかの問題点があることが判明し、急遽スリランカ製の機械を購入することとしたため、機械設置が若干遅れましたが、想定している品質のオガライトを製造する見通しがたちました。

⑤総括と今後の課題
 昨年、内戦は一応の終結はみましたが、大統領選、総選挙などによって若干の混乱が続き、機械や設備の納入に影響がでました。しかしながらスリランカの人びとの環境問題が高まってきており、このプロジェクトに対する関心もあるので、この機を逃さず環境教育の充実にも一層、努力していきたいと思います。
プロジェクトのベースになる部分については、現地スタッフの全面的な協力によってスリランカの関係者と良好な関係を構築することができ、生産開始までこぎつけました。しかしながら、実際にどの程度の品質の固形燃料がどれくらい製造でき、それが経済的な価格で販売することができるのか、今後の課題となっっています。また、子供たち向けの環境教育も順調に行ってはいるものの内容についてはより大きなインパクトを得られるようなものにしていく必要があると考えています


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災害復興支援活動(スリランカ)


LinkIconスマトラ沖地震にともなう被災者への支援プログラム(2005)

LinkIcon地滑り災害被災地におけるBHN充足に向けた支援(2007)

LinkIcon地滑り災害被災地における総合的支援~グリーンムーブメント・オブ・スリランカ協働事業~(2007)

LinkIcon地滑り被災者に対するBHNの充足と自立型復興促進のための自治組織力の強化(2008)

LinkIconハングランケタ郡地すべり被災民移転地における参加型水供給プログラム(2008)

LinkIcon津波移転住宅における家庭菜園導入によるゴミ問題の解決(2009)

LinkIcon地滑り被災者移転地区における住宅建設へのコンクリートブロック提供と自治組織の強化(2009)

LinkIconスリランカ北東部内戦避難民子ども支援プロジェクト~小さな笑顔プロジェクト~(2009)

LinkIcon地すべり被災地域における校舎建設と学校菜園運営を通した教育支援(2010)

LinkIcon地すべり移転地区における子どもクラブの運営(2010)

LinkIcon地すべり被災地における農業を中心とした総合的な生計向上支援(2010)

LinkIcon地すべり被災者への住宅資材の提供事業(2010)

LinkIcon北中部州洪水被災児童への学用品の緊急支援活動(2011)


災害復興支援活動(日本)


LinkIcon東日本大震災『緊急支援活動』(2011.03-05)

LinkIcon東日本大震災『復興支援活動』(2011.06-08)

LinkIcon大震災被災地へ物資を直接支援「あくしゅプロジェクト」(2011)

LinkIcon東日本大震災『中長期支援活動』(2011.08-2012.03)

LinkIcon東日本大震災『仮設住宅の住環境改善支援』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2013.04-2013.12)


地域開発事業


LinkIcon生計向上と地域の安定を目指した家庭菜園の普及活動(2007~)

LinkIcon農村地域のアトゥンゴダイシパタナ小学校校舎新築及び環境教育の普及(2008)

LinkIcon識字率向上へのチルドレン・ハッピー・プランinスリランカ~子どもが子どもに教える。そこから広がる大きな幸せの輪~(2008)

LinkIconゴミから紙を作る!エコロジカルペーパー・ワークショップによる環境教育プログラム(2008)

LinkIcon僻地農村貧困地区での分散型エネルギー普及の調査・建設プロジェクト(2008)

LinkIcon住民主体の森林再生~「貧困⇔森林破壊」負の連鎖を断ち切る~(2009)

LinkIcon干ばつ地域での女性に配慮したコミュニティ主導防災計画の立案(2009)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市ボルゴダ湖の自然環境保全(2009)

LinkIcon僻地農村の子どもへのコンピューター&インターネット技術の普及活動(2009)

LinkIcon僻地農村のティッサカニトゥ小学校修繕および菜園による栄養改善事業(2009)

LinkIconウィルガムワ郡の教育設備の整備および教育の重要性についての啓発事業(2009)

LinkIcon食料・平和の確保に資する家庭菜園&有機農業普及のための農業研修センターの設立(2009)

LinkIconスリランカ僻地における学校建設を通した教育支援事業(2009)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2009)

LinkIconスリランカ紛争及び津波被災地域における子どもの栄養改善とメンタルケアプログラム(2009)

LinkIconパルゴッラ幼稚園&図書館の新築プロジェクト(2010)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2010)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市・ボルゴダ湖の自然環境保全(2010)

LinkIcon水質の改善、水資源の有効利用を通した地域開発プロジェクト(2010)

LinkIconアプカスを通した直接支援スキーム「おんこ基金」プロジェクト(2010)

LinkIconスリランカと日本を結ぶアートクラフト開発プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者のフットマッサージ師就職促進プロジェクト(2010)

LinkIconガルカダウェラ幼稚園新築プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2011)

LinkIcon視力検査と視力矯正を通した子どもの健康増進と学習環境の整備(2011)

LinkIcon家庭菜園普及と農業組合および女性グループの組織強化支援(2011)

LinkIcon農業生産加工や省エネ商品の販売促進による生計向上支援活動(2011)

LinkIcon英語クラブと補講クラスの実施を通した学業支援活動(2011)

LinkIcon家畜飼育の導入による貧困削減と地域の平和促進(2012)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2012~)

LinkIcon乳牛飼育の導入と生乳販路確保による貧困削減(2013)


教育講演活動


LinkIconスリランカ・スタディツアー・コーディネート(2008)

LinkIcon北海道障害学研究会サポート活動(2008)

LinkIcon教育機関での国際協力に関する講演活動(2008)

LinkIconBOPビジネス及び社会起業に関するフィールド調査(2010)


情報の共有活動


LinkIcon現地パートナーNGO/シッダールタ チャイルド ディベロップメント ファンデーション(SCDF)