アプカス プロジェクト

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住民主体の森林再生「貧困⇔森林破壊」負の連鎖を断ち切る~
(スリランカ東部・アンパーラ県ラフガッラ村ヤルポタ地区)

現況

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スリランカ東部・アンパーラ県ラフガッラ村ヤルポタ地区の10haの土地に植林予定であり、政府の同意も得ている。当該地は、長年の乱開発により荒廃し、森林の消滅による災害なども発生しているため、一刻も早い森林再生への着手が求められている。そこで、10haの土地に在来種8,000本の植林を行い、同時に地域住民へ当森林を使用した有機農業による生計向上事業にも着手し、森林破壊と密接につながる貧困の削減の二つの課題に取り組む。

スリランカの森林率は1900年に74%、1956年に44%、1999年には22%まで低下しています。年間5000件もの不法伐採が報告されている状況の中、いくつかの地域では植林が行われているものの、森林の周辺に住む人びとは貧困を抱える零細農民が多く、植林をしても管理にまで手が回らなかったり、焼畑地として開拓してしまったり、燃料として使用するために不法伐採を続けてしまうという問題があります。
それは、地下水の減少、地滑り、森林火災などの大きな問題を発生させ、森林が失われ環境破壊が進むと同時に貧困への連鎖を拡大させています。そういった状況を少しでも改善するために、以下のプロジェクトを立案しました。

活動指針

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活動概要

乱開発によって荒廃した森林での有機農業を組み合わせた住民主体の植林・森林管理

受益者

森林管理・有機農業を行う20世帯の零細農家
近隣住民

目的

・植林による森林の再生
・有機農業の普及及び栄養改善
・零細農民の生計向上
・森林管理を通した住民ネットワークの強化
・森林の重要性の体得

活動内容

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実施期間

2009年4月>>2010年3月

活動計画

①森林の再生:

スリランカ東部・アンパーラ県ラフガッラ村ヤルポタ地区の10haの土地が植林予定地として、森林局との合意の下に確保されています。その土地は、長年の乱開発により荒廃し、先に述べたような森林の消滅による災害なども発生しているため、一刻も早い森林再生への着手が求められています。当事業では、スリランカの在来種であるセイタカミロバラン、インドセンダン、タナッカー、コクタンなどを混合して計8,000本植えます。在来種を利用することで、その土地の環境に根付いた森林を再生することを目指します。当植林事業では、植林地内での耕作を行う許可を森林局より得ているため、与えられた区画で農民が耕作を行えることになります。これにより、農民が頻繁に植林地へ足を運ぶようになり、苗木の管理が促進され、植林木の生存(活着)率が向上します。また、植林の開始に伴い、子ども達を対象とした環境教育を行い、次世代の人びとと、森林の必要性や保全の方法などの情報を共有していきます。

②森林破壊と密接につながる貧困の削減:

当該地域では、零細農民が多く、彼らの大多数が行っているのが焼畑農業です。また、収入の補填や、燃料の木材を確保するための、地域住民による不法伐採への関与も続いています。焼畑や不法伐採が森林破壊を加速化させていますが、これは、貧困と森林破壊が密接につながっているという事でもあります。当事業では植林の推進とともに、周辺住民(農民)が貧困から抜け出し、森林との共生生活を送ることができる土台の確立を目指しています。


農民が抱える大きな問題として、安定した収入が得られないという事があります。過剰な焼畑を続けているため、収穫量が減少している事が、安定収入を阻害している大きな要因です。そこで、植林を始めるにあたって、農民との話し合いを通して、現在の農法(過度の焼畑など)の問題点を整理し、改善策の検討を行います。農民が自ら問題意識を持ち課題に取り組むことにより、地域独自の資源管理能力および収入の向上につながります。

当事業への参加者には、一ヶ月の収入が50ドル以下の20世帯(農家)を選びます。そして、森林局が保有している土地から一農家あたり約0.5haの土地が5年間貸し付けられる予定です。この土地は、森林局の植林計画に指定された土地でもあります。植林は約5m×5mの間隔で行われるため、苗木と苗木の間にスペースが生まれます。そこに、持続型有機農業指導を受けた農民が、それぞれの区画を利用して複合栽培を主とした耕作を行います。短期間で生育する果樹類(パパイヤ、バナナなど)の作付けも行われ、野菜類などの栽培と合わせ、定期的な収穫が可能となります。これらの活動により、農民の食糧が確保されるとともに、収入の向上にもつながり、貧困からの脱出の一歩となります。

また、耕作により地表が覆われるため、植林地での土壌流出防止にもつながります。そして、①でも述べたように、農民が頻繁に耕作地に通うことにより苗木の管理が促進されます。当事業は、土地の貸し出しが終了するまでの間に、農民が持続型有機農業技術を取得することにより、植林地を返還した後も周辺の土地で持続的な農業を行う第一歩となります。また、森林局との協議の元、森林保全を前提とした森林の有効利用も可能となり、農民及び周辺地域の人びとの積極的な森林資源の管理を促進します。

カウンターパート

(1)グリーンムーブメント・オブ・スリランカ(GMSL)

この事業はGMSLがメインNGOとなり、イオン環境財団から助成を受けています。当法人は、スタッフのプロジェクト全般への参加に加え、国内との調整業務及び中間評価業務を担当しています。

(2)アンパーラ郡森林局事務所

メンバー

石川 直人(現地コーディネーター)
伊藤俊介(国内調整業務)
キールティ・ガヤン(GMSLプロジェクトオフィサー)

予算

当プロジェクトは、パートナーNGOであるGMSLに対してイオン環境財団による植林活動助成金500千円が交付され、実施されます。

今後、5年間の森林内での森林管理や有機農業技術の普及に関して、さらなる追加プロジェクトを計画しています。

活動報告

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進捗状況

終了

実施レポート

2009年4月:

村人85 名が参加して、ワークショップを開催。籐植物産の植林を含む計画作りを行いました。

5月:

80 名が参加する中、植林に関するトレーニングを、森林局と共同で開催

6月:

10 世帯を選出し、苗作りと植林・栽培に必要な基本的道具の配布

7月~10月:

雨季の到来を待つ

11月:

雨季の遅れに伴い植林が遅延したものの、植林開始

12月:

有機農業の専門家によるワークショップを通して、アグロフォレストリーの手法を紹介し、実際に作付けを開始しました。有機肥料投入後、カウピ、ムンアタ、インゲンを先に播種した。これは、マメ科の作物を先に作付けしました

2010年1月~3月:

森林のメンテナンスや行政との関係構築

担当者レポート

地球温暖化の抑止や生態系保護といった観点から、地球レベルでの森林保護の必要性が叫ばれています。

この事業は、植林に加え、地域住民が当該植林地を使用して有機農業に取り組むことが特徴であるといえます。このような「生計向上と森林管理を組合わせた植林(=アグロフォレストリー)」は、「住民が森林と共に生きるというインセンティブ」を持てるという意味でも優れていると考えています。

期待される効果

①収入の向上(作物の栽培+籐製品の生産)
②環境意識の向上
③住民ネットワークの強化

事業終了後の実際の効果

実施期間中に水不足により森林内の餌が不足したため、野生動物による食害が発生したことが大きな打撃になりました。食害に対しては、グリリシディア等を利用した垣根を作る事も有効であるという意見があり、一部で実施してみましたが、広範囲を全てグリリシディアで囲う事は一農民にとっては非常に大きな負担となってしまい実効性のある処方箋とはなりませんでした。

fencing.jpg食害及び強い日差しから苗を守るためのカバー

①収入の向上は確認されたか?
 干ばつへの対策は別途講じる必要がある事を前提に、植林・農業を組み合わせた森林保全は、スリランカでも十分普及する可能性があり、今後もこの様な取り組みを推し進めていきたいと考える農民は少なくありませんでした。農民は、今まで行ってきた焼畑農法に比べ、一時的には収入が下がったものの、種や道具の初期投資の支援があったため、資金面での問題は生じませんでした。
 長期的には果樹や有機農産物による収入の拡大や、森林内のつる性植物を利用した家具や細工の製作を行い、収入源のオプションが拡げることができれば、零細農民が貧困から脱却し、森林と共に生きることも十分に可能ではないかと考えていますが、今回は、その部分を十全にサポートする体制を構築するには至りませんでした。

②環境意識の向上は確認されたか?
 当事業は単年度だったこと、リソースの不足等の理由により、効果は確認できませんでした。

③住民ネットワークの強化は確認されたか?
 10世帯と当初より裨益世帯が減少したことで、コミュニティレベルへの波及効果は確認されませんでした。また、ネットワーク強化のためのシンポジウム等も開催できず、この部分に関する入力は実質的にやや難しかったようです。
また、水不足が深刻となり、一部作付けした作物が枯れる事態になってしまいましたが、実際にある程度の農作物の収穫があれば、収穫祭などを通してコミュニティの活性化にも十分つながると考えられます。

④アグロフォレストリーの有効性は?
 2010年3月にのプロジェクト終了時に、住民・森林局・郡事務所及び環境局の関係者が集まり、アグロフォレストリーによる森林保全の今後の可能性について話し合いを行いました。2月に起きた水不足のため、当初描いた結果は得られなかったものの、農民が耕作をしつつ森林を保全していく方法は、彼らのインセンティブも確保でき、その継続性の確保の観点からも有効なのではないかという意見が多くでました。

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災害復興支援活動(スリランカ)


LinkIconスマトラ沖地震にともなう被災者への支援プログラム(2005)

LinkIcon地滑り災害被災地におけるBHN充足に向けた支援(2007)

LinkIcon地滑り災害被災地における総合的支援~グリーンムーブメント・オブ・スリランカ協働事業~(2007)

LinkIcon地滑り被災者に対するBHNの充足と自立型復興促進のための自治組織力の強化(2008)

LinkIconハングランケタ郡地すべり被災民移転地における参加型水供給プログラム(2008)

LinkIcon津波移転住宅における家庭菜園導入によるゴミ問題の解決(2009)

LinkIcon地滑り被災者移転地区における住宅建設へのコンクリートブロック提供と自治組織の強化(2009)

LinkIconスリランカ北東部内戦避難民子ども支援プロジェクト~小さな笑顔プロジェクト~(2009)

LinkIcon地すべり被災地域における校舎建設と学校菜園運営を通した教育支援(2010)

LinkIcon地すべり移転地区における子どもクラブの運営(2010)

LinkIcon地すべり被災地における農業を中心とした総合的な生計向上支援(2010)

LinkIcon地すべり被災者への住宅資材の提供事業(2010)

LinkIcon北中部州洪水被災児童への学用品の緊急支援活動(2011)


災害復興支援活動(日本)


LinkIcon東日本大震災『緊急支援活動』(2011.03-05)

LinkIcon東日本大震災『復興支援活動』(2011.06-08)

LinkIcon大震災被災地へ物資を直接支援「あくしゅプロジェクト」(2011)

LinkIcon東日本大震災『中長期支援活動』(2011.08-2012.03)

LinkIcon東日本大震災『仮設住宅の住環境改善支援』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2012.04-2013.03)

LinkIcon東日本大震災『コミュニティ構築支援活動』(2013.04-2013.12)


地域開発事業


LinkIcon生計向上と地域の安定を目指した家庭菜園の普及活動(2007~)

LinkIcon農村地域のアトゥンゴダイシパタナ小学校校舎新築及び環境教育の普及(2008)

LinkIcon識字率向上へのチルドレン・ハッピー・プランinスリランカ~子どもが子どもに教える。そこから広がる大きな幸せの輪~(2008)

LinkIconゴミから紙を作る!エコロジカルペーパー・ワークショップによる環境教育プログラム(2008)

LinkIcon僻地農村貧困地区での分散型エネルギー普及の調査・建設プロジェクト(2008)

LinkIcon住民主体の森林再生~「貧困⇔森林破壊」負の連鎖を断ち切る~(2009)

LinkIcon干ばつ地域での女性に配慮したコミュニティ主導防災計画の立案(2009)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市ボルゴダ湖の自然環境保全(2009)

LinkIcon僻地農村の子どもへのコンピューター&インターネット技術の普及活動(2009)

LinkIcon僻地農村のティッサカニトゥ小学校修繕および菜園による栄養改善事業(2009)

LinkIconウィルガムワ郡の教育設備の整備および教育の重要性についての啓発事業(2009)

LinkIcon食料・平和の確保に資する家庭菜園&有機農業普及のための農業研修センターの設立(2009)

LinkIconスリランカ僻地における学校建設を通した教育支援事業(2009)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2009)

LinkIconスリランカ紛争及び津波被災地域における子どもの栄養改善とメンタルケアプログラム(2009)

LinkIconパルゴッラ幼稚園&図書館の新築プロジェクト(2010)

LinkIcon僻地・農村地域の学校における水供給と衛生概念向上支援~子どもの健康改善に向けて~(2010)

LinkIconおが屑の有効利用を通したモラトゥワ市・ボルゴダ湖の自然環境保全(2010)

LinkIcon水質の改善、水資源の有効利用を通した地域開発プロジェクト(2010)

LinkIconアプカスを通した直接支援スキーム「おんこ基金」プロジェクト(2010)

LinkIconスリランカと日本を結ぶアートクラフト開発プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者のフットマッサージ師就職促進プロジェクト(2010)

LinkIconガルカダウェラ幼稚園新築プロジェクト(2010)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2011)

LinkIcon視力検査と視力矯正を通した子どもの健康増進と学習環境の整備(2011)

LinkIcon家庭菜園普及と農業組合および女性グループの組織強化支援(2011)

LinkIcon農業生産加工や省エネ商品の販売促進による生計向上支援活動(2011)

LinkIcon英語クラブと補講クラスの実施を通した学業支援活動(2011)

LinkIcon家畜飼育の導入による貧困削減と地域の平和促進(2012)

LinkIcon視覚障がい者雇用促進のためのマッサージサロンの運営(2012~)

LinkIcon乳牛飼育の導入と生乳販路確保による貧困削減(2013)


教育講演活動


LinkIconスリランカ・スタディツアー・コーディネート(2008)

LinkIcon北海道障害学研究会サポート活動(2008)

LinkIcon教育機関での国際協力に関する講演活動(2008)

LinkIconBOPビジネス及び社会起業に関するフィールド調査(2010)


情報の共有活動


LinkIcon現地パートナーNGO/シッダールタ チャイルド ディベロップメント ファンデーション(SCDF)