地滑り被災者デッロワッテ移転地区への水供給支援プログラム
(スリランカ国中部州ワラパネ郡地域)
現況
2007年1月12日、スリランカの中部州・ワラパネ郡、ハングランケタ郡において地すべりが発生し、甚大な被害が出た。被災直後から現在に至るまで、協力団体であるグリーンムーブメントオブスリランカ(GMSL)とともに、トイレ建設などの支援を行ってきた。
被災後2年以上がたった今、多くの被災者が政府から移転地をもらい新たな生活を送り始めている。そんな中、昨年12月26日にワラパネ郡においては5つ目となる移転地が被災者に提供された。ここには、近隣の避難キャンプより約72世帯が移転する予定であった。しかしながら、行政側の調整力および予算の不足も重なり、移転地として提供される土地には生活に最低限必要な設備が何一つない現状である。多くの、被災者は2年間という長い期間をテントで暮らしてきており、肉体的・精神的に非常に疲弊している。しかし、提供された土地には水や簡易のトイレさえもない状況に、多くの被災者は気力すら失ってしまっている状態である。
1月3日に行った現地調査では、上記の現状を何とかして欲しいという被災者の悲痛な訴えを聞くこととなった。また、現在被災者が生活している場所はあくまでも“避難キャンプ”であり、定住することは認められていないが、最低限の設備は整っているため、あまり移転地へ行きたくないという声も多かった。しかしながら、今後の復興プロセスの事を考えると、移転が遅れることは決してよい事とは言えない。移転者に提供される政府からの支援金や他のNGOからの支援の焦点が当たっているのは移転を済ませた被災者にという現実があるからである。
そこで、当団体としては、移転地において一番重要となる水の確保が緊急課題であると考え、本事業の立案につながった。
活動指針
活動概要
ワラパネ郡5つ目の移転用地デッロワッテ地区において、72家族に対する水の供給を行う
目的
(1)被災者への水供給
(2)水供給による衛生改善・水汲み労働の軽減
(3)簡易水道管理委員会による住民ネットワークの強化
活動内容
実施期間
2008年12月>>2009年3月
活動計画
まず、移転予定の被災者との話し合いを行い、水供給=簡易水道をどの位置に引くかの計画を立てる。水源は、移転地から2Kmほど離れた所にある沢を利用する。ブロックを用いて簡易的なタンクを作り、沢の水を堰止め、そこから、プラスチックのパイプを利用して移転地に水を引く。なお、移転地が水源よりも低い場所にあるため、水を送るための動力は必要ない。移転地内では5つのタンクに水を供給しそこから被災者が汲めるような仕組みにする。なお、土地の造成が進んでいない現状では、各個給水するのは難しい。プラスチックのパイプの埋設等は被災者が協力し合い行い、被災者との話し合いを通して、簡易水道管理委員会を設立し、継続的な維持管理を彼らに委託するように事業を進める。なお、すでに政府関係者とは調整済みであり、近々正式な要請書をもらう予定である。
※当団体は、ワラパネ郡においてGMSLと協働で復興支援事業を展開している。本年度は、仮設住宅建設支援などを行ったが、デッロワッテ移転地は昨年12月に急遽決まった所であり、当団体の本年度事業計画に入っていなかった。
09年2月上旬 事前に職員が支援地域に入り現状の確認及び被災者との協議、行政機関との調整を行う
09年2月中旬 簡易タンクの設置および簡易水道埋設作業開始
09年2月下旬 建設終了
09年3月上旬 水供給開始
09年3月中旬 モニタリング&報告
カウンターパート
グリーンムーブメント・オブ・スリランカ(GMSL)
メンバー
石川 直人(現地コーディネーター)
温井音也(国内コーディネーター)
キールティ・ガヤン(GMSLプロジェクトコーディネーター)
予算
412千円
当プロジェクトは、社団法人 青年海外協力協会による"まごころ事業"による助成金300千円により実施されます。